1. 最古の中国絵画

中国最初の王朝といわれる「殷(いん)」その次の「周(しゅう)」の時代の絵画は発見されていませんが、2015年現在、最古の絵画といわれるものは、戦国時代の「楚(そ)」の墳墓(ふんぼ)から発見された絹に描いた絵「帛画(はくが)」とされています。紀元前4~3世紀のもので、龍や鳳凰、女性が墨の輪郭線で描かれています。


馬王堆漢墓(まおうたいかんぼ)帛画

1972年に湖南省長沙市の「馬王堆漢墓」で、素晴らしい遺品が発掘されました。
利蒼(長沙国丞相)とその妻子が葬られた「馬王堆漢墓」は、1972年の発掘時、妻の遺体の皮膚には未だ弾力があり、生きているような状態であったことで知られています。同時に副葬品にも貴重な工芸品や帛書など、多くの貴重な美術品が発見されました。

中でも、妻の棺を覆っていたT字型の帛画が注目されています。
前面に極彩色、からすやヒキガエル、龍、鳳凰などの動物や怪鳥が描かれ、中央にいるのは埋葬された妻とされています。数人の侍女を従えて死後の世界へ旅立つところで、文様と一体となった龍や雲気文も躍動感があります。

画像石に見られる古代

画像石(がぞうせき)や画像磚(がぞうせん)も墓室を装飾する技術として価値があります。
画像石とは、磨いた石に、薄いレリーフ状に彫刻をして絵を描いたものです。画像磚は、煉瓦(レンガ)で型板を作り、粘土で造形して彫刻、装飾して描き、窯に入れて焼成させたものです。

この時代の題材は神仙世界、地下世界、帝王、聖人、歴史、物語などが描かれ、拓本(木・石・石碑・金属器などの画像を紙に写したもの)に取るとシルエットのようになります。人物は横向きで、動作がオーバーアクションな作風であることが特徴です。

武氏祠画像石(ぶししがぞうせき - 山東省嘉祥県出土)、孝堂山祠(こうどうさんし - 山東省)、沂南墓(きなんぼ - 山東省)、打虎亭墓(だこてい - 河南省)などが有名で、考子伝や列女伝が題材として選ばれて描かれていることから、儒教道徳が影響していたと推測されています。


東洋の絵画

東洋の絵画について紹介しています。 中国の歴史と共に発展してきた絵画は日本や韓国にも影響を与えました。